直接法について

固定資産の減価償却に関して、直接法と間接法という二つの記帳方法があります。どちらも受験の際には必須の項目ですが、ここでは、まず直接法から学習を始めましょう。

 

2020年1月1日、石川株式会社は3,000,000円の建物を購入し、決算日を迎えました。また、この建物の残存価額は取得原価の10%で、耐用年数は30年です。石川株式会社の会計期間は、1月1日から12月31日だとして

減価償却費の計算
減価償却の仕訳

こちらを考えてみましょう。

 

まず、2020年の減価償却費を計算してみましょう。

取得価額が3,000,000円で、残存価額が取得原価の10%、耐用年数が30年なので

3,000,000×0.9÷30=90,000

つまり、一年間で建物の価値が90,000円減少したと考えられます。

次に、この減価償却の仕訳なのですが、建物を購入した際に、貸借対照表の建物勘定には「3,000,000」という数字が入ります。直接法とは、この残高を実際に減らしていく方法になります。

ですので、仕訳は

減価償却費 90,000  建物 90,000

となり、建物勘定の残高が減少します。

 

固定資産を売却した時の仕訳

簿記3級の試験では、決算時の処理に加えて、固定資産を売却したときの仕訳も問題に出題されます。
そこで、2020年に購入した先ほどの建物を、2021年の期首に売却した場合を考えてみましょう。

2020年の期末に建物の減価償却を行ったので、2021年の期首において、帳簿上の残高は2,910,000円となっています。この建物を3,000,000円で売却し、現金で回収した場合の仕訳はどうなるのでしょうか。

まず、資産として現金が増加したので、借方に現金を記述します。そして、建物が無くなったので、貸方には建物を記述します。しかし、簿記では、貸借の金額が必ず一致しなければならないのですが、今のままだと貸方の方が90,000円分足りない状態となっています。

この90,000円は、どのような勘定が入るのでしょうか。

 

今回の取引では、2,910,000円の価値があるものを売却し、3,000,000円の現金を受け取ることができたとも考えられるので、90,000円利益を得たとなります。

ですので、固定資産を売却して利益を得ることができた、「固定資産売却益」という勘定科目を用います。

 

これらをまとめると

現金 3,000,000  建物 2,910,000

固定資産売却益 90,000

 

という仕訳になります。

 

++++

 

それでは、建物を売却したときに、売却価額が2,850,000円を現金で受け取った場合は、どうなるのでしょうか。

この場合は、2,910,000円の価値のものを売却したけれど、2,850,000円しか手に入らなかったと考えられるので、60,000円損をしてしまったことになります。

ですので、固定資産を売却して損が発生した、「固定資産売却損」という勘定科目を用います。

 

これらをまとめると

現金 2,850,000  建物 2,910,000

固定資産売却損 60,000

となります。

 

会期途中に売却した場合

次に、期中に売却したときのことを考えてみましょう。

期中で固定資産を売却した場合、期首から売却した時点まで使っていたわけですから、その時点までの減価償却費も計算しないといけません。

 

2020年に3,000,000円で購入し前期末に減価償却した建物を、2021年4月30日に2,800,000円で売却し、現金を受け取った場合の仕訳を記述してください。ただし、一年間の減価償却費は、90,000円として計算します。

 

まずは、2021年の1月から4月までの減価償却費を計算します。

一年間の減価償却費が90,000円で2021年に使用したのは4ヶ月なので

90,000円×4ヶ月÷12ヶ月=30,000円

となり、2021年の期首から売却まで発生した減価償却費は、30,000円となります。

 

次に、売却したときの仕訳ですが、期首に2,910,000円の価値があったのですが、売却時には2,880,000円の価値となった建物を2,800,000円で売却したので、50,000円損してしまったことになります。その結果、仕訳は以下の様になります。

 

現金 2,800,000  建物 2,880,000

減価償却費 30,000

固定資産売却損 50,000

 

 

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