費用の見越しの解き方

次に、費用の見越し問題の解き方を学習したいと思います。簿記試験では、借入金の利息の問題がよく出題されるので、ここでも銀行から現金を借りたときの処理を基に考えてみましょう。


平成X1年5月1日に、東西銀行から借入期間1年、年利率3%、利息は返済時に支払うという条件で、現金1,000,000円を借り入れました。会計期間が1月1日から12月31日までとして
現金を借り入れたときの仕訳
決算整理の仕訳
翌期首の再振替仕訳
の仕訳を行います。

まずは、5月1日に現金を借り入れたときの仕訳を考えてみましょう。

現金を借り入れたということは、会社の現金が増加します。そして、現金は資産なので、借方に記述します。また、相対する勘定の借入金は負債なので、貸方に記述します。
ですので、5月1日の仕訳は、こちらのようになります。

現金 1,000,000  借入金 1,000,000

次に、決算整理の際の仕訳を考えてみましょう。
まず、借入金の処理ですが、借入期間は1年間なので平成X1年の年末には、まだ借入金の返済期日とはなっておりません。ですので、借入金自体の仕訳は必要ありません。
次に、利息に関して考えてみます。今回の借り入れでは、利息を払うのは借入金を返済するときとなっています。ですので、平成X1年の段階では、実際には支払われてはいません。
ただし、利息は現金を借りている間に発生しているので、例え利息を払っていないとしても、費用としての支払利息は発生しています。ですので、決算整理においては、今期分の利息を計上する必要があります。

また、利息の金額ですが、最初に返済時の利息を計算すると、年利率が3%なので、
1,000,000円×3%=30,000円となります。
ただし、今回の場合は、平成X1年5月1日から平成X1年12月31日の8ヶ月分の利息となるので

30,000円×8ヶ月÷12ヶ月=20,000円

となります。これが、平成X1年に発生した支払利息です。
支払利息は費用なので、借方に「支払利息 20,000」と記述します。

一方、貸方の勘定項目ですが、仮に現金で支払ったのならば、貸方に「現金 20,000」と記述します。ところが、平成X1年にはまだ払っていない、未払いの状態です。
ですので、ここでは未払利息という勘定を用いて

支払利息 20,000  未払利息 20,000

となります。

次に、平成X2年1月1日を迎え、次期に移ったときの仕訳を考えます。
前年末(平成X1年12月31日)に、未払いの分を未払利息に振り替えましたが、期が改まると、未払利息を支払利息に再度振り替えなければなりません。

未払利息 20,000  支払利息 20,000

こうすることで、前期に未払いとして振り替えた支払利息を、今期分の支払利息とすることができました。

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