現金過不足は、発生した仕訳から考えよう – 現金過不足問題の考え方・解き方
Yahoo知恵袋で、現金過不足の解き方について質問されている方がいました。
簿記の問題に関しての質問です。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13276217093
現金の帳簿残高が実際有高より¥15,000少なかったので現金化不足として処理していたが、決算日において受取手数料¥20,000と旅費交通費¥6,000の記入漏れが判明した。残額は原因が不明であったので、雑益または雑損として処理する。
この現金過不足、慣れてしまえば簡単なのですが、最初はどうやって解いたらいいか混乱することが多いので、問題の考え方・解き方を解説したいと思います。
実際の現金有り高と帳簿の残高が異なるのが「現金過不足」
まず、現金過不足は、通帳の現金残高と実際の現金有り高が異なっている状態です。この時に、現金が多い・少ないは関係ありません。
また、過不足の問題を解くときは、過不足を発見した状態から考えると、解きやすいです。
現金が合わず、現金過不足で仕訳を行った
それでは、現金の金額が合わなかったときの処理から考えていきましょう。
サイトを見ると、「現金の帳簿残高が実際有高より¥15,000少なかった」と書かれています。
このままだとイメージしにくいので、金庫には65,000円入っているけれど、通帳には50,000円と記帳されていると仮定しましょう。そうすれば、こうやって表せそうです。
※この金額は、適当に決めた金額なのですが、ダミーでも合計金額を使った方がわかりやすいので、みなさんも問題を解くときに使ってみてください。
そこで、仕訳を行うのですが、重要なのは実際の金額に合わせるということです。
ですので、帳簿の現金勘定の残高を増やし、相手勘定を「現金過不足」で仕訳を行います。
現金 15,000 現金過不足 15,000
次に文章を読んでいくと、決算日において現金過不足の原因となる記帳もれが判明したということなので、現金過不足の訂正を行います。
今回は、受取手数料と旅費交通費が記帳もれということなので、まずは本来行うべき仕訳を考えると、このようになります。
現金 20,000 受取手数料 20,000
旅費交通費 6,000 現金 6,000
ですが、この仕訳を忘れたため、現金過不足が発生した。ということは、この仕訳を現金過不足で訂正仕訳を行います。
現金過不足 20,000 受取手数料 20,000
旅費交通費 6,000 現金過不足 6,000
現金過不足勘定を丁字で確認
では、現金過不足勘定を丁字で確認しましょう。
このように、現金過不足勘定は、1,000円の貸方残高となります。
ただ、この現金過不足は、翌期へ繰り越さない評価勘定なので、期末に処理を行わなければならない。そして、最初の仕訳を思い出してもらうと、『実際の現金有高と帳簿残高を比較し、実際の現金が多い場合は貸方残高になり、実際の現金が少ない場合は借方残高』となります。
ということは、今回は1,000円の貸方残高なので、内訳は不明だけど、何らかの利益があり、現金が1,000円増えたと考えられます。ですので、最後の仕訳として現金過不足の残高をゼロにする仕訳を行います。
現金過不足 1,000 雑益 1,000
現金過不足が借方残高の場合は雑損
今回の問題では、雑益としての仕訳ですが、もちろん現金が少ない場合もあり、その場合は雑損として仕訳を行います。
例えば、今回の設問で記帳もれの受取手数料が22,000円だった場合、訂正仕訳は、以下のようになります。
現金過不足 22,000 受取手数料 22,000
旅費交通費 6,000 現金過不足 6,000
となると、現金過不足勘定の丁字がこのようになり、1,000円の借方残高になります。
これは、理由は不明だけれど、1,000円損したとなるので、決算では、このような仕訳を行います。
雑損 1,000 現金過不足 1,000
現金過不足の問題を解く場合は、具体的な数字を使って考えるようにする
現金過不足の問題は、こんな感じで解くことができます。最初にふれたように、慣れるまで借方・貸方のどちらになるかわかりにくいかもしれませんが、具体的な数字を入れて考えたり、図で表すと理解が深まると思います。