【簿記3級】備品売却における減価償却費の解き方

簿記試験では、第一問、第五問などにおいて減価償却の問題が出題されるため、それらの計算が非常に重要となります。ですが、減価償却の計算について、苦手な方も多くいらっしゃいます。
そこで、減価償却問題の考え方、解き方を確認してみましょう。

減価償却解答の手順

減価償却の問題を解く際には、このような流れで進めると良いと思います。

  1. 直接法なのか、間接法なのか
  2. 会計期間は何月から何月までなのか
  3. 固定資産の売却日の確認
  4. 売却代金は、現金、小切手、当座預金で受け取ったのか、もしくはまだ受け取っていないのか
  5. 売却代金、減価償却累計額、減価償却費、取得価額との差額の確認

直接法なのか、間接法なのか

減価償却の問題を解く際は、まず直接法か間接法かを確認します。問題文の中に『直接法』、『間接法』という指示がある場合もありますが、『減価償却累計額』が記述されているだけの場合もあります。
問題文に『直接法』という言葉がある場合は直接法、『間接法』という言葉がある、もしくは『減価償却累計額』が設定されている場合は間接法となります。
もし、解答中にわからなくなってしまう場合は、下線を引いたり四角で囲むなど目立つようにしておきましょう。

会計期間の確認

会計期間、いわゆる期首から期末までの期間のことです。教科書などでは、1月から12月までを会計期間とすることが多いのですが、設問では4月から3月、もしくは希にですが9月など、あまり見かけない月から始まる場合もあります。
この会計期間が、次の売却日時につながるので、こちらも下線を引いたり四角で囲むなどしておきましょう。

固定資産の売却日の確認

次に固定資産が売却された日時を確認するのですが、一般的に簿記試験ではこれら3つのうちのどれかになります。

  • 期首
  • 期中
  • 期末

そして、この売却日時が、その期の減価償却費につながるので、しっかりと確認してください。

売却日時が期首の場合

売却日時が期首の場合は、新たな減価償却費は発生しません。ですので、新たな計算は必要ありません。

売却日時が期中の場合

売却日時が期中の場合、期首からその売却日まで使用していた→価値が下がったということなので、その分の減価償却費を計算します。また、原価償却費は日割り計算ではなく、売却した月まで使っていたとする月割り計算となります。うっかり135/365などと計算すると割り切れないので注意してください。

売却日時が期末の場合

売却日時が期末の場合、その期に使用した分の減価償却費を計算します。また、決算を経て、初めて減価償却費が減価償却累計額となります。そのため、決算前に売却した場合は、一年間使用していますが勘定科目は減価償却費となります。これもうっかり減価償却累計額としないよう、気をつけてください。

売却代金は、現金、小切手、当座預金で受け取ったのか、もしくはまだ受け取っていないのか

次に、固定資産の売却代金をどのように回収したのかを確認します。
現金や小切手なら勘定科目は現金、当座預金への振り込みなら当座預金となります。ただ、気をつけなければならないのは、売却代金を受け取っていない場合は、未収金、もしくは未収入金となります。売掛金と勘違いする場合が多いので、間違わないように気をつけてください。
また、未収金、未収入金のどちらも同じ意味合いの勘定科目なのですが、使用して良い勘定科目にはどちらか一方のみが記載されているので、こちらも勘定科目に載っているものを使用してください。

売却代金、減価償却累計額、減価償却費、取得価額との差額の確認

これで、減価償却の計算のために必要な数字は全て揃いました。ここから、仕訳を考えていきましょう。
また、借方、貸方のどちらにどの勘定科目を書くか、ですが、わかりにくい方は購入した際の仕訳を書いてみると、わかりやすいと思います。

例えば、取得金額が100,000円の備品を、減価償却累計額が40,000円、今期の減価償却費が20,000円、売却代金が50,000円を現金で受け取った場合は、このような形になります。

購入時の仕訳

備品 100,000 現金や当座預金 100,000

※この仕訳を解答に書くと誤りとなるので、計算用紙や問題の隅に書いておきます。

・固定資産の記入
購入時には借方に記述しているので、売却するとその固定資産が無くなる→貸方に記述します。

備品 100,000

・売却代金の記入
先ほど述べたように、現金や振り込みの場合はその勘定を記載しするので、今回は現金となります。ただし、問題文で「来月受け取る予定となっている」といった記述がある場合は、未収金または未収入金となります。

現金 50,000 備品 100,000

・減価償却費、減価償却累計額の記入
減価償却費や減価償却累計額は、固定資産の価値を下げるものなので、固定資産と逆の列に記述します。

現金 50,000 備品 100,000
減価償却費 20,000
減価償却累計額 40,000

・売却益、売却損の確認
最後に固定資産を売却して利益が発生したか、損が発生したかを確認します。この判断に関しても迷う方が多いのですが
固定資産の取得金額から減価償却費と減価償却累計額を引き、現在の価値を確認
その価値が、売却代金より少なければ売却益、多ければ売却損となる
このように考えましょう。

今回の例の場合は
100,000 – (20,000 + 40,000) = 40,000 < 50,000
となるので、「40,000円の価値の物を50,000円で売却できたので、10,000円得をした」となり固定資産売却益となります。

現金 50,000 備品 100,000
減価償却費 20,000 固定資産売却益 10,000
減価償却累計額 40,000

コメント

  • 最後に書いてある仕分けについて
    固定資産売却益は貸方ではないですか?

    ブラウザなどにより表記が異なっていたら申し訳ないですが、私の画面では、借方に固定資産売却益が
    あるように見えます。

    • コメント、ありがとうございました。
      確かに、固定資産売却益は借方となります。
      ご指摘を受けて、本文の方を修正しております。
      繰り返しとなりますが、ありがとうございます。

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