材料費に関して
工業簿記では、製品の原価を求めることを目的としています。そのため、商品を仕入れる商業簿記とは異なり、材料の買い入れから仕訳が始まります。
また、一口に材料費といっても、それらの中で、いくつか種類があります。
・主要材料費
製品の本体を製造するための材料。
・買入部品費
他の業者から購入し、製品に取り付ける形の部品。
・補助材料費
製品を製造する際に、補助的に使用する材料。
・工場消耗品費
製品を製造する際に、工場全体で消費する金額。
・消耗工具器具備品費
耐用年数が1年未満、または金額が少額な備品類。
例
本棚を製造している山形株式会社を例にすると
主要材料費:本棚本体に使用する木材
買入部品費:扉のちょうつがいや、扉のガラスなど
補助材料費:接着剤や塗装用のペンキなど
工場消耗品費:手洗い用の石鹸など
消耗工具器具備品費:ドライバーや秤、イスなど
こういったものが該当します。簿記2級においては、これらの品目を書かせる問題は出ないと思いますが、どのような材料が存在するのかはしっかりと覚えておきましょう。
直接材料費と間接材料費
原価計算において、直接費用と間接費用の二つの考え方が重要となります。
材料費は『製品の製造にいくら消費したか明確にできるものとできないもの』という観点から、直接材料費と間接材料費の二つに分けられます。
先ほどの材料費の項目と組み合わせると、工業簿記における材料費はこのような区分になります。
直接材料費
主要材料費、買入部品費
間接材料費
補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費
材料副費
材料を購入したさいに、引取費用や保管費用を支払う場合があります。商業簿記における仕入時の引取費用と同様に、材料を購入した際の付随費用も、『材料副費』という名目で材料の費用に繰り入れます。
例
本棚を製造している山形株式会社では、材料としての木材90,000円を現金で仕入れた。また、引取費用として10,000円を現金で支払った。
材料 100,000 現金 100,000
材料の消費 – 仕掛品と製造間接費
上で述べたように、その製品を製造するために量を明確にできるものを直接材料費、接着剤や塗料のように明確にできないものを間接材料費と呼びます。
例
山形株式会社は、購入した100,000円分の材料のうち80%を主要材料として、残りの20%を補修のための補助材料として使用した。
仕掛品 80,000 材料 100,000
製造間接費 20,000
もちろん、接着剤や塗料なども製造原価の一部となるので、最終的には仕掛品へ振替を行います。
例
製造間接費10,000円を、今月分の製品に配賦した。
仕掛品 10,000 製造間接費 10,000
これらの仕訳をまとめると、今月分の取引をまとめると、100,000円分の材料を購入し、製造した製品に90,000円使用したとなります。