減価償却について

簿記3級の試験では、問1と問5に減価償却に関する問題が出題されますが、この減価償却についても、なかなかわかりづらいという人が多くいらっしゃいます。そこで、減価償却とその解き方について説明を行いたいと思います。

減価償却とは何なのか?

まず「減価」という単語ですが、普通「げんか」と発音した場合には、「原価」という言葉が頭に浮かぶと思います。また、「償却」という単語も、「しょうきゃく」というと、「焼却」という言葉が浮かぶと思います。

「減価」という言葉ですが、その漢字が表すとおり、価値を減らすことを意味します。次に、「償却」という言葉は、大辞泉では「借金などをすっかり返すこと」と説明されていますが、減価償却においては「使うことで無くなってしまうこと」と考えると良いと思います。

ですので、減価償却とは「購入した備品などの固定資産を使うことによって、その価値が減少してしまうこと」と考えるとわかりやすいと思います。

減価償却の必要性

それでは、何故減価償却を行わなければならないのでしょうか。

皆さんが雑貨屋さんを運営していると仮定して、平成X3年1月1日に、銀行から現金を借り入れて、3,000,000円の新しい倉庫を購入したとします。また、平成X3年の売上は500,000円、利益は100,000円だとします。

ここで、平成X3年の収益や費用を考えてみると、銀行から資金を借り入れて倉庫を購入したので、平成X3年に「建物」が増えましたが、同時に3,000,000円の「借入金」も発生しています。
そこで、例えばこの3,000,000円の倉庫の購入を全額費用として捉えると、雑貨屋という事業では100,000円の利益を出すことができたのですが、途端に、2,900,000円の赤字となってしまいます。

利益:100,000円 – 倉庫費用:3,000,000円 = -2,900,000円

ですが、この赤字の原因は雑貨屋の不振ではなく、倉庫の購入金額を全額費用としたためです。つまり、本業の雑貨業は黒字なのに、2,900,000円の赤字を出してしまったというのは、正しい経営状態を反映しているとは言えません。
また、この倉庫は1年使ったら壊すというものではなく、何年も使い続けます。ですので、2年目以降には、倉庫の取得費用が全く考慮されなくなるのもおかしな話です。

つまり、この不整合を調整するのが、減価償却という考え方になります。

正しい費用計算

では、正しい経営状態を把握するには、どうしたらよいのでしょうか。

先ほど述べた通り、今回購入した倉庫の耐用年数が30年だとした場合、30年間同じ倉庫を使い続けるのだから、購入にかかった費用も、分けて考えた方が良い感じがします。
そこで、3,000,000円を耐用年数の30年で割った100,000円を、平成X3年にかかった倉庫の費用として考えます。もちろん、平成X4年の倉庫費用も同じく100,000円となります。
また、資産の面から見ると、平成X3年に倉庫を3,000,000円で購入したということは、平成X3年の倉庫の資産価値は3,000,000円となります。しかし、1年間使用することで設備が壊れたり、劣化もします。今回購入した倉庫の使用年数は30年なので、30年後には、もう資産価値はなくなってしまう。ですので、資産の面から見ると、倉庫の価値が毎年100,000円ずつ減少していくとも考えられます。これが、価値が減少していく=減価償却の意味となります。

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