【簿記3級】消耗品は、「消耗品」勘定と「消耗品費」勘定の違いをしっかりと理解しよう!
Yahoo知恵袋で、このような質問が投稿されていました。
簿記3級仕分けの問題です。 「消耗品30000を購入し、代金は後日支払うことにした」という問題で、答えが消耗品費/未払金になるのですが、なぜ借方が消耗品ではないのでしょうか?
この質問への回答は、『勘定一覧に「消耗品費」しかないから』となるのですが、消耗品の仕訳について、迷う方もたくさんいらっしゃるので、ここで整理してみましょう。
消耗品とは何か
消耗品とは、ボールペンやプリンタ用紙などが該当します。また、耐用年数が一年未満だったり、取得金額が10万円以下のものも、消耗品として計上することができます。
消耗品を資産で考えるか、費用で考えるか
消耗品に関する勘定ですが、簿記では二つ存在します。資産としての「消耗品」勘定と、費用としての「消耗品費」勘定です。もう少し詳しく説明すると、消耗品を購入した際に、それらは未使用なので資産、つまり「消耗品」として考えます。そして、業務を行うなかでボールペンやコピー用紙を使用します。そして、それらは業務を行う上で必要な費用、つまり「消耗品費」として考えます。
ですので、消耗品を購入した場合は、未使用なので「消耗品」という区分になり、決算の時に、在庫をチェックして、使ったボールペンを「消耗品費」というのが正しい考え方となります。
期中に、3,000円の消耗品を現金で購入した。また、この時に初めて消耗品を購入したとする。
期末に、消耗品の在庫を確認し、1,000円分が未使用であることを確認した。
期中の仕訳
消耗品 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
期末の仕訳
消耗品費 | 2,000 | 消耗品 | 2,000 |
ですが、現実には消耗品の在庫を細かく調べるのは大変なので、基本的に消耗品費として計上します。
消耗品の出題パターンと解答例
先ほど確認したように、消耗品に関しては二つの勘定が存在し、且つ慣れないうちは解きづらい問題です。それ故か、簿記試験では良く出題される項目でもあるので、しっかりと理解しましょう。
ここからは、簿記試験における出題と、その問題の解き方を見ていきましょう。
消耗品5,000円を現金で購入した。
- 使用する勘定に「消耗品費」しかない場合
- 使用する勘定に「消耗品」しかない場合
1の解答
消耗品費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
2の解答
消耗品 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
このように消耗品に関する勘定のどちらか一つしか無い場合は、一覧にある勘定を用いて仕訳をします。
消耗品5,000円を現金で購入した。
また、当社では、消耗品を購入した場合、費用として計上する。
問題文の指示に「費用として計上する」とあるので、費用勘定である消耗品費として仕訳をする、と読み取ります。
消耗品費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
消耗品5,000円を現金で購入した。
また、当社では、消耗品を購入した場合、資産として計上する。
先ほどとは逆に、「資産として計上する」と指示されているので、資産勘定である消耗品で仕訳すると読み取ります。
消耗品 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
決算を迎えたため、決算整理を行う。
当社は、消耗品を購入した際に費用として計上しているが、未使用分が3,000円分あるので、資産として振り替える。
ここでは、決算整理での仕訳を問われていますが、問題文に「消耗品を購入した際に、費用として計上している」とあることから、事前に「消耗品費」を使った仕訳が行われていたと考えます。
消耗品費 | X,XXX | 現金や当座預金 | X,XXX |
※金額や相手勘定はわからないので、仮の情報で仕訳をしています。
そして、年末になったときに、未使用分が3,000円あるので、『未使用の消耗品が3,000円分あり、購入した時には「消耗品費」を使ったので、「消耗品」に振り替える』という仕訳が必要だとわかります。
ですので、解答の仕訳は
消耗品 | 3,000 | 消耗品費 | 3,000 |
となります。
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | ||
---|---|---|---|---|
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
消耗品 | 30,000 |
期末になり、消耗品の在庫をチェックしたところ、10,000円分の未使用分があった。
最後に、簿記試験の第5問で出題される精算表での解き方を見てみましょう。
ここでは、購入したときにどの勘定を用いたか書かれていませんが、試算表の残高を見ると、「消耗品」勘定に30,000の残高があります。ということは、消耗品を購入した際に、「消耗品」勘定を用いて仕訳たのだなと読み取ることができます。
例えば、仮に現金で30,000円分の消耗品を購入したとすると
消耗品 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
このような仕訳となります。
そして、「10,000円分の未使用分がある」ということは、「消耗品費」の残高が20,000円で、その結果「消耗品」勘定の残高を10,000となったとわかります。
ですので、まず仕訳はこちらのようになります。
消耗品費 | 20,000 | 消耗品 | 20,000 |
そして、この仕訳を精算表に反映させると
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | ||
---|---|---|---|---|
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
消耗品 | 30,000 | 20,000 | ||
消耗品費 | 20,000 |
このような修正仕訳となります。
「消耗品」勘定と「消耗品費」勘定の区別をしっかり!
消耗品に関する問題は、とにかく「消耗品」勘定と「消耗品費」勘定の区別をしっかりと付けて、どちらが求められているのかを理解出来れば、そんなに難しい問題ではありません。
頑張ってください!