費用・収益の見越しと繰延べ
この費用・収益の見越し、繰延べの問題は、仕訳問題でも出題されることがありますが、特に第5問の精算表、財務諸表の作成問題では必ず出題される項目です。そのため、合格するためには必須の項目なのですが、苦手としている方が多くいらっしゃいます。
ただ、一度、基本を理解すれば、特に難しいものではないので、しっかりと学習したいと思います。
費用・収益の見越しと繰延べとは何か?
そもそも、見越しや繰延べが何故必要なのか、一度、整理したいと思います。
まず、簿記とは1年の会計期間でどれだけ黒字もしくは、赤字になったのか。また、企業にどれだけの財産があるのかをはっきりさせるものです。
逆に考えると、かかった費用や得た収益も、1年という会計年度を基準に考えないといけません。
ここで、会計期間が1月1日から12月31日の企業を例に、繰延べと見越しについて考えてみます。
8月1日に1年間の駐車場代として360,000円を支払ったとします。この時、8月1日から12月31日までの5ヶ月分は当期の費用となりますが、のこりの7ヶ月分は来期の企業活動のための費用となります。そのため、費用としては5ヶ月分のみの金額で、残りは来期の費用を前払いしたと考えます。
同様に、3月1日に銀行から10,000,000円を年率3%、利息は返済時に返すという条件で借りたとします。この場合、問題がなければ翌年の2月28日に元金10,000,000円と利息の300,000円を返すことになります。ただし、この利息は、お金を借りている期間に発生するものなので、3月1日から利息が発生していると考えます。
ですので、今期の利息は、3月1日から12月31日までの10ヶ月分の250,000円となります。ただし、この利息はまだ払っていないので、未払利息となります。
これら、繰延べと見越しにはいくつかの種類があるので、ひとつずつ見ていきます。