【レビュー】『いちばんやさしい会計の教本』は、簿記学習者へオススメの書籍です


2018年に出版された『いちばんやさしい会計の教本 人気講師が教える財務3表の読み解き方が全部わかる本』ですが、簿記を学習中の方にオススメの書籍です。特に、初めて簿記を学習する方、財務諸表を苦手としている方はぜひ目を通してみてください。

書籍全体の構成

本の内容は、大きく二つに分けられ、前半は損益計算書や貸借対照表といった財務諸表についての説明が中心となっています。そして、後半は、財務諸表の値をどのように経営分析に結びつけるかというポイントについて書かれています。

前半では、財務諸表の目的・勘定科目の意味合いを紹介

この書籍の前半では、財務諸表の内容が中心となっており、貸借対照表、損益計算書の構成や目的が述べられています。もちろん、ごく簡単に財務諸表の作り方が述べられていますが、さすがにここに書かれている紹介文だけでは財務諸表を作ることはできないでしょう。
ただ、資産や負債、純資産といった科目について、『貸借対照表においてどのような目的・意味があるのか』という点が、詳しく述べられています。そして、ただの定義の説明だけでなく、実際の企業の数字を基に解説がされているので、読んでいる方も非常にわかりやすいです。単に資産が多いのが良いのではなく、もっと深い部分まで見ないといけないことを教えてくれます。
平成31年度の試験から、簿記3級においても株式会社の設立が試験範囲となりました。ということは、利益剰余金や準備金といった純資産関連の問題も出題されると思いますが、そういった部分についてもしっかりと学習できると思います。

次に、損益計算書ですが、こちらについてもしっかりと解説がされています。純利益や営業利益、経常利益といった金額の求め方、考え方について説明があり、貸借対照表と同様に実際の企業の数字を使った解説がされています。受験者目線からすると、簿記2級の試験範囲なので、すべての受験者に必要とは言えませんが、実際に企業で働く際に重要な知識なので、受験する級数に関係なく、ぜひ覚えて欲しい内容になっています。

また、これは1級の試験範囲となるのですが、キャッシュフロー計算書についても解説があり、どのようにキャッシュフローを意識したら良いのか説明されています。こういったコンパクトな形でまとめられているのはあまり目にしたことがないので、こちらも目を通しておいて欲しい部分です。

後半は、財務諸表から経営状態を見抜く手法や考え方の解説

後半部分は、前半の応用というか、財務諸表の数字を使ってどのように企業の経営分析を行うかという部分に的を絞っています。具体的には、ROEやROAといった経営分析の用語解説や、具体的なサンプルを基にどのように経営分析を行ったら良いのかが紹介されています。
また、最近はあまり使われることが少なくなった手形の知識や、与信の考え方も紹介されており、より実務にフォーカスした内容となっています。

こちらは、試験範囲としては簿記1級となりますが、さらに実践的な内容となるので、企業の経理担当や経営的な役職を目指す方、もしくは簿記1級より上の資格を目指している方にとって、基本的な部分がしっかりと説明されていると感じます。

初めて簿記を学習する方、勘定の意味をきちんと理解したい方にオススメします

この本は、「いちばんやさしい」と銘打たれているだけあって、財務諸表の本当に基礎的な部分について説明されています。ですので、初めて簿記を受験する、もしくは未経験で経理事務として働く方にとっては、絶好の入門書になると思います。
逆に、経営のコツを知りたい、投資のノウハウを知りたいという人にとっては、あまりに基礎的な内容なので、ちょっとそぐわないかなと思います。

ただ、こういった財務会計の基礎がコンパクトにまとまった本は、あまり目にしたことがないので、オススメの一冊です。

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