費用の繰延べの解き方

それでは、費用の繰延べ問題の解き方を学習したいと思います。簿記試験では、保険料や家賃を1年間前払したときの問題がよく出題されますので、ここでも保険料を1年間分、前払いしたときの仕訳を考えていきましょう。


平成X1年5月1日に、1年分の保険料として96,000円を現金で支払いました。会計期間が1月1日から12月31日までとして
保険料を支払ったときの仕訳
決算整理の仕訳
翌期首の再振替仕訳
の仕訳を行います。

まずは、5月1日に現金で支払ったときの仕訳を考えてみましょう。
支払保険料は費用なので、借方に記述します。また、現金は資産なので、貸方に記述します。ですので、5月1日の仕訳は、こちらのようになります。

支払保険料 96,000  現金 96,000

次に、決算整理の際の仕訳を考えてみましょう。

まずは、今期分の費用がどれくらいなのか、金額を計算します。支払った保険料96,000円は、1年分の金額なので、平成X1年の5月1日から平成X2年の4月30日までの保険料となります。ですが、会計期間が1月1日から12月31日なので、この保険料は今期分と来期分が混ざったものとなります。

そこで、保険料の内訳を考えると、支払ったのは平成X1年5月1日ですが今期は平成X1年12月31日までなので、今期分の費用としては8ヶ月分の保険料を使用したことになります。
ですので、金額を計算すると、96,000円×8ヶ月÷12ヶ月=64,000円となります。しかし、5月1日に「支払保険料 96,000」と仕訳をしているので、支払保険料の残高を減らす必要があります。

支払保険料を借方に96,000で仕訳を行ったので、金額を減らすため貸方に支払保険料96,000円−64,000円=32,000円で仕訳をします。
また、借方の勘定科目は何になるかというと、来期の保険料を前払いしているので、「前払保険料」という勘定を用います。ですので、決算の仕訳はこのようになります。

前払保険料 32,000  支払保険料 32,000

こうすることで、今期の支払保険料の残高を、64,000円とすることができました。

次に、平成X2年1月1日を迎え、次期に移ったときの仕訳を考えます。
前年末(平成X1年12月31日)に、前払いした分を支払保険料に振り替えましたが、期が改まると、前払保険料を支払保険料に再度振り替えなければなりません。

また、平成X2年になったら、前払した保険料は支払保険料となりますので、前年末に行った前払保険料を、改めて支払保険料に再振替します。

支払保険料 32,000  前払保険料 32,000

こうすることで、前期に払った保険料を、今期分の支払保険料とすることができました。

費用の繰延の考え方

保険料や家賃など、前払いした費用の繰越しについて学習をしました。苦手な方が多いのですが、理解するポイントは、簿記は1年間の会計期間が重要という点です。その会計期間に黒字になったか、赤字になったかを調べるのが簿記なのですが、使用した費用もその期間内のものなのか、という点が重要になります。
ですので、先に費用を支払った際に、その会計期間内に消費したものは、その期の費用になるのですが、翌期の分を前払いした場合は、「前払○○」という形で翌期へ持ち越すようにします。
これが、決算整理の際に行われる仕訳です。

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