貸倒引当金の仕訳問題

次に、売掛金の貸倒れ分に対して、貸倒引当金を充当する仕訳を確認します。


X2年6月1日、山形株式会社の得意先仙台商事が倒産し、売掛金1,000円が貸倒れとなりました。この売掛金はX1年に発生したもので、貸倒引当金の残高は、2,000円となります。

この問題のように前期に発生した売掛金には、決算日において貸倒引当金が設定されています。したがって、この貸倒引当金を取り崩して、処理を行います。

仕訳は、このようになります。
貸倒引当金 1,000  売掛金 1,000

それでは、貸倒引当金の残高が損失分よりも少ない場合は、どのようになるのでしょうか。


X2年6月1日、山形株式会社の得意先仙台商事が倒産し、売掛金5,000円が貸倒れとなりました。この売掛金はX1年に発生したもので、貸倒引当金の残高は、2,000円となります。

まず、貸し倒れてしまった売掛金は5,000円ですが、貸倒引当金の残高は2,000円です。売掛金の全額を貸倒引当金で処理できないのですが、このような場合でも、まずは貸倒引当金を充当させます。

貸倒引当金 2,000  売掛金 5,000

ただし、このままだと借方の残高が残っています。簿記の原則として、借方、貸方の金額が等しくならなければならないので、借方の残高を貸倒損失として処理します。

貸倒引当金 2,000  売掛金 5,000
貸倒損失  3,000

ここで一つ重要なポイントがあります。先ほど確認した通り、貸倒引当金は決算の際に売掛金、受取手形などの残高を基に計算されます。逆に考えると、その期内の貸倒れに関しては、貸倒引当金は考慮されていない形となります。そのため、当期の売掛金などが貸し倒れてしまった場合は、全額、貸倒損失として処理します。


X2年6月1日、山形株式会社の得意先仙台商事が倒産し、売掛金2,000円が貸倒れとなりました。この売掛金はX2年4月1日に発生したもので、貸倒引当金の残高は、2,000円となります。また、山形株式会社の会計期間は、1月1日から12月31日とします。

この場合、仙台商事に対する貸倒れは当期に発生しているので、貸倒引当金の残高が残っている場合でも、全額貸倒損失として処理します。
貸倒損失 2,000  売掛金 2,000

この仕訳が、試験問題で問われやすいので、しっかりと区別してください。

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